三国志大戦3を中心に突っ走っています

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三国志大戦二次創作同盟第拾夜



ついに10回目となりました
今回のお題はR疾風趙雲
さて、時間もぎりぎりなので、さっさと上げますw
いつもの如く、続きからどうぞ

参加者リンク
盟主
酔狂書生は江湖を往く
神行百変殿

同士
ヘボプレイヤーの意地!
第二蜀殿
天の星は神の光

 星が流れた。
 月のない夜空に煌く無数の星々の中で、星が流れ消えた。いくつかの星が流れ、夜空からひとつの星座が消えた。
 天空でそんな変化のあった時、大地ではささやかな闘争が行われていた。肉の爆ぜる音、骨の砕ける音、人の呻きと悶絶の声。大地に横たわる幾人かの男たち。屈強とも言えるその男たちを血の海に沈め、彼女は悠然と立っていた、、、その剣を血で真っ赤に染めて。
「・・・私は運がいい」
 夜空を見上げていた彼女がそう呟いた。
「天空への道が・・・開かれた」
 天と同じ広い大地の上、星座の消えた夜空を見上げて幾人かが、彼女と同じことを思い、そして導かれるように同じ場所へ向かって歩き始めた。

 遮るもののない草原を風が吹きぬけた。膝程度までの草が一斉に流れ、風が文様を作り出す。いくつもの風が駆け抜け、やがてひとつになって竜巻になる。そんな竜巻の中心に男はいた。いや、むしろそこに男がいたから風が集まり竜巻を形作ったと言ったほうがいいだろう。ごうと音を鳴らして騒ぐ竜巻の中心、男が右手を横に振ると風が止まり竜巻が消える。
 むしろ華奢と言ってもいい痩身の体なのに、あれほど激しく渦巻いていた風を軽く止めた。それは本当に止めたのだろうか。ただ偶然に止まっただけかもしれない。先ほどからそれを見ていたものがいればそう思うだろう。だが、竜巻はその男が止めたのだ。
「行ってくる」
 草原には男が一人。いったい誰に言ったのか、男は宣言するとやはり歩き始める。綺麗に束ねられ、手入れの行き届いた腰まで伸びる髪が風にそよいでいた。

 東方にある霊山。その洞窟に一人の老人がいた。齢をいくつ重ねたのであろうか、深く彫りこまれた皺、腰の下にまで垂れた白い髪。搾り出すように発せられるしゃがれ声からもその性別ははっきりと読み取れない。老人はくぼんだ眼窩の奥にある、そこだけは若者のようにしっかりとした瞳を、天井に向けた。そこは洞窟の中だと言うのにまるで満天の星空のように光を放っていた。ただ一箇所を除いて。
「武王の星が流れた」
 その一箇所だけ輝きを失った天井の下には、そこから崩れたであろう土くれが散乱していた。
「天で武王を形作る48の星が地に現れた」
 地面に落ちている、白い石。おそらくは天井に貼り付けて星を形作っていたものだろう。
 その数、48。
 白い石が老人の言葉に共鳴するかのように薄暗い洞窟の中で青白く、ほのかに発光する。それはやがて激しく光るもの、明滅するものなど、様々に光を放ち、しかもあろうことか、生き物のように動き始めた。石は惹かれあうように近いものが固まりになっていく。
「ほう、すでに闘いを始めたか。せっかちな」
 老人は笑ったようだ。肺から吐き出された空気が、風船から漏れたようにひゅうひゅうと音を立てていた。

(え、、、)
 その時起こったことをその若者は認識できずにいた。もっとも、それをその瞬間に認識できるものなどそうはいないであろう。道を歩いていたらどさりという音がして、今まで肩から伸びていた腕が握っていた鍬ごと地面に落ちていた。右肩からは真っ赤な血が噴水のように迸っている。そして若者がそれを認識する前に、首が飛んだ。
「おらおら、さっさとしろ」
 血に濡れた反身の刀を振り、髭面の男が馬上から叫んだ。その言葉を合図のように、右手の家から炎が上がった。紅蓮に燃え上がる炎は仲間を呼ぶように、一軒、また一軒と増えていく。
 山あいの村。それなりに暮らしてた村人たちの前に盗賊団が現れた。こんな時勢でもあり、村も外敵に対する備えをしていないわけでもなかった。だが、奪うことに長けた盗賊団には飾りのようなものでしかなかっただけだった。
 陵辱と略奪。奪い殺し喰って犯すと、あらゆる獣を解放した盗賊団に情けをかける必要などないだろう。だが、ありていに言って彼らも悲惨だった。そこに住んでいたものの中に普通ではない者がいたが故に、盗賊団の者たちはこの世から消えた。18人いた盗賊団の全員が、生きたまま喰われた。そして、夜が空ける頃にはそこにぼろ布のような彼らの衣服が残るのみであった。
「みんなうまかったか?」
 ただ一人生きてその村に佇む若者それは腕を、首を切られたあの若者であった。口にした言葉はいったい誰に語りかけていたのだろう。若者はその場所が凄惨な場所とはとても思えないように晴れやかに笑っていた。

「この動き、見切れまい!」
 対峙する者が言った言葉はそのまま呪文のように男の姿を消した。常人ならば驚愕に値するその光景を、それを見ていたただ一人の男はふっとひとつため息をついた。
 そして、風が、走った。
「ばかな・・・」
 先ほど消えた男が現れる。そして驚愕に目を見開き、目を下に向ける。
「あまり早くないな」
 その声が聞こえたかどうか、男は4つに分かれ、絶命した。その術を知ることは出来ないが、事実としてそうなった。
 そんな常人の予測を超えた戦いが各地で起こっていた。それは街中で、山で、森で昼夜をおかず行われ、どちらかが死ぬまで続けられていた。勝者はただ一点を目指し、またその道中で出会うものと同じく戦いを繰り返していくのだった。

 霊山の麓。
 そこに5人の男女が集まった。彼らは、やはり同じようにこの地を目指し、そして数多のものと戦いを繰り広げ、そして勝ち抜いて、なおかつ生き残ったものである。そんな彼らが戦いを行わず、ただ集い、じっと何かを待っていた。それは何なのか、人なのか、獣なのか、時なのか、風そよぐその草原に互いに目を合わせることなく佇んでいた。
「4人か。意外に多く残ったものだな」
 そんな声が聞こえた。声の主はこの霊山の洞穴にいたあの老人である。しかしその声を発したところは尋常でなかった。そこは5人の真上、何の支えもない空中である。
「おいおい、俺たちは5人だぜ」
 若い男が老人の言葉に反論する。たしかに、その場に立っているのは5つの人影。4人ではない。だが、その言葉に周りの4人の雰囲気が代わる。その雰囲気を一言で言えば憐れみ、憐憫の情が漂う。
「気づいていないのか」
「かわいそうに・・・」
「・・・」
「あ~あ」
 4人がそれぞれに呟く。
 その言葉に若い男が周囲を見回す。そしてふと何かに気づく。いや、気づかされる。その男は4人を頂点とする4角形の中心にいた。
「ま、まっ、、、」
 誰が最初で誰が最後だったのか。4方からの攻撃で男は大地に還った。
「さて、改めて4人の候補者たちよ」
 空中の老人が告げる。
「生き残れ。生き残ったものを天に上げてやろう。そして武王となれ」
 その言葉に4人が動こうとしたとき、二つの影が現れた。ひとつの影は白い着物を着て、ひとつの影は赤い着物を着ている。
「なんじゃ、北斗に南斗」
「なんじゃではないだろう。数百年に一度の戦いを見過ごせるものか」
「そうじゃ。我らにさえ見えぬ寿命を持つ者たちじゃからな。戦いを純粋に見て楽しめるのはこのとき以外ないからのう」
 その言葉が終わらないうちに様々な影が現れます。
「私たちの仲間になる神仙の誕生を一人で見るつもりだったのですか、盤古様」
「そうですぞ、いくらあなた様とは言え、いただけませんな」
「伏羲に女媧か・・・」
 盤古と呼ばれた老人がばつが悪そうに頭を掻く。そして周りを見渡し、同じように視線を送る幾多の神仙たちの視線に、今頃のように気が付いた振りをする。
「解った解った」
 盤古が腕を振ると周囲に山が出来た。そして、数多の神仙たちがその山々に飛び移り、その中心に居る4人の人間を見ていた。
「結局はこうなるか。では、古来よりの慣例に従い、名乗るがよい。今はまだ人の名を持つ者たちよ」
 盤古の呼びかけに4人は神仙に対し、人の身として畏れ多くも名乗ると言う栄誉を賜った。もちろんそれは死に逝くものへの最後の栄誉でしかなく、勝者はすなわち同格へと昇華されるのだ。
 まず一人男が声を上げた。
「我が名は楊誼。流派轟断を収めた」
 その名乗りを聞いていくらかの神仙がほうと頷く。人界においては名の売れた格闘家である。
「神仙の皆様、次の武王、銘秦と申します。煌斬流の切れ味をとくとご覧ください」
 不遜と言えば不遜な名乗りではあるが、死ねばそれまでである。己を奮い立たせるにはこのぐらいの事は言っておくものであろう。そして3人目の若者が名乗る。
「僕は劉」
 ただ一言それだけを言う。
「それだけか?」
 神仙の誰かが問うた。
「戦う前に相手に教えちゃ損でしょ」
 劉はケタケタと笑って言った。その様子は無邪気であり、ただの子供にも見える。だが、ここまで生き残った紛れもない実力者であることを誰も疑いなどしなかった。
「最後は俺か。槍術を使う趙雲」
「趙雲・・・?」
「どうした北斗?」
「何か覚えがあるのじゃが、果て誰であったか」
 趙雲の名乗りを聞いた北斗が首をかしげる。
「南斗様、父の命を救っていただき感謝いたします」
 趙雲が手を組み、南斗に頭を下げる。そして北斗と南斗の二人が思い出した。
「おお、趙顔か」
「そうじゃ、あの張顔の息子か」
「おかげさまで私も生を受け、ここに到ることができました」
 4人の名乗りが終わったところで、盤古が2組の名を呼ぶ。すなわち、楊と趙。銘と劉。
「まずはその者たちで戦い、残りで最後の戦いを行え」
 その瞬間、戦いは始まった。

 楊誼がまず動いた。小手調べとばかり、趙雲に神速で近づいて刹那の間に26の拳と22の蹴りを放つ。そして、また元いた位置に戻り、ニッと笑う。
「趙雲とやら、やるではないか。この俺の攻撃すべてをかわすとは・・・面白い!」
「・・・」
 趙雲は興味がなさそうに半身でそれを聞いた後、瞳を楊誼からはずし、銘秦と劉の方へ向ける。まるで、楊誼などいないかのような振る舞いだった。それを見た瞬間、楊誼が吼えた。
「なめるな!!」
 本気の力を解放し、奥義を持って趙雲に迫る。・・・はずであった。だが、楊誼がそう思い体を動かした瞬間、世界が回転した。楊誼の見る世界が突如回転し、自身はなぜか大地に寝転がり、草の根元にいる小さな虫を目に捉えていた。
「え?」
 それが武闘家として名を馳せた男の最後だった。
「勝ちの味、悪くないな」
「まったく最初から全力を出さんからそうなるんじゃ」
 天にとどまり見ていた盤古が、大地に寝転がる上半身と、今でもその上半身を支えようと踏ん張る下半身を視界の端に捕らえて呟いた。楊誼が小手調べとして放った間に、趙雲の槍が一閃で楊誼を二つに切り裂いていたのだった。
「やはり最後の二人にならないと面白くなりませんね」
「趙雲と言う男、なかなか」
 山に集って見ていた神仙たちが口々に感想をもらす。その声は風に乗り、趙雲の元にも届いているが、趙雲は感慨すら受けぬように次に戦う相手を見ていた。
 劉と名乗った若者も、煌斬流を収めたと言う銘秦もともに剣を握っていた。劉は双剣を両手に、銘秦は見事に鍛えられた長穂剣を構えている。その姿を見て趙雲は次の相手は銘秦だろうと思った。確かに劉も名人級の腕前ではあろうが、達人を凌駕しているこの場には不似合いなほど児戯な構えであった。そして、その趙雲の見立てどおりに、銘秦の一刀で劉の首が飛んだ。
「運だけでは、これより先には進めないわよ」
 銘秦が首のなくなった劉へ言葉をかける。視線の先にいる劉の首からはとどまることなく血が噴き出し、血溜りを作っていく。血は止まることなく広がり、血の溜りが徐々に大きくなって行く。
「さあ、趙雲と言ったね。どちらが武王になるか、はじめようじゃないか」
 銘秦が言い、趙雲の方を向く。美しい足の運びが、劉の血を踏み、波紋を広げる。趙雲もその言葉に乗ろうとしたとき、異変が始まった。否、始まっていたのだ。
 人の、血が、これほど、大きな、血溜りを、作れる、、、だろうか?
 痛みを感じた銘秦が下を見、その光景に目を見開く。
「ひぃっ!」
 銘秦の口から悲鳴が漏れる。そこにいるのは達人などではなく、ただ恐怖に涙し、悲鳴を上げるただの小娘だった。では何がそうさせたのか。
 劉の血がうごめき、銘秦の肉を、貪り食っているのだ。
 血はまるで獣のように蠢き、銘秦の足を食いちぎった。バランスを崩して地に着いた手が、血に触れると今度はそこを食いちぎった。血は意思があるかのように、いや有るのだろう、銘秦の肉を食いちぎり、己が血溜りに落とす。落ちた腕や足、肉の周りに泡が立ち、小さな血の獣が群がり、そして、食い尽くしていく。後に残るのは何もない。
 瞬くほどの間に銘秦であったものは小さくなり、そして消えた。ただ衣服や装飾などがそこに彼女がいたことを思わせるのみである。
「よいしょと」
 銘秦が消えたのと代わりに、劉が動いた。銘秦に切り落とされた首も元に戻っている。あれほどまでに血で汚れていた衣服すら、まるで洗い立てのようだ。
「ほんと、運だけじゃダメだよね。どうする、死にたくなかったら逃げていいよ?」
 劉が趙雲にそう告げる。確かに、首を切り落とされても死なないものと、どう戦えばいいのか。普通であれば逃げるべきだろう。だが、趙雲もまた普通ではなかった。
「はじめていいのか?」
 その言葉は劉の背後から聞こえた。そして、槍の先が劉の首筋に添えられている。いったいどれほどの速さで動いたのだろうか。神仙たちの中にすら、その動きに驚愕するものも出るほどだ。
「ふーん、やるんだ。じゃあ、いつでもいいよ」
「なら始めよう。武に逸るのも悪くはないものだ」
 言うが早いか劉の体が宙に舞う。その落下地点では、趙雲が槍を構えている。同門ですら知るものの少ない、奥義の構え。落下する劉の体がその射程に入ったとき、大気が消し飛んだ。形容する言葉すら無くすほどの神速の槍が劉の体に叩き込まれ、大気すら切り裂き霧散させたのだ。
「弱いな・・・」
 趙雲の感想はある意味当然である。だが、問題はその後であろう。先ほどの戦いのように、殺しても死なない上に、そこから反撃してくるのだ。
「痛い痛いよ」
 その言葉は劉の口から飛び出した。吹き飛んだ先で、地べたに転がりながら、呪詛の声を上げる。
「何で血が出ないんだよ、ずるい、ずるい、、、」
 どう言うことであろうか、あれほどの神速の槍の攻撃を受けて血が出ないとは。趙雲は静かに、当然とばかりに立っている。
「見えたかえ、伏羲よ」
「おいおい、私は仮にも神だよ。人の動きを見えないなど、あるものか。なに、簡単なことだ、槍ではなく石突で突いただけのことだよ、女媧」
 と軽く言ったが、その技量がどれほどのものか考えさすが武王候補と伏羲も内心舌を巻く。いくら石突とは言え、あの神速の中少しでも間違えれば皮膚は破れ肉が飛んだであろう。だが、趙雲はその加減を見極め、まさに全身を青くあざで染めるほど打ち付けていながら血の一滴すら流させていない。
 その間にも趙雲の攻撃はまさに一方的に続いていた。そのたびに骨の砕ける音がする。
 趙雲の攻撃が止む。
「ど、、、どうした、ん、、、」
 これにはさすがの趙雲も手を止めざるを得なかった。もう打つ所がなくなったのだ。趙雲ほどの達人が全身をくまなく打ち据え、骨と言う骨を砕いた。だが、それでも劉は生きている。
「ほ、ほら、、、打っていいんだよ」
 動けなくなり、全身をあざで染めているのに優勢なのは劉のほうなのだ。何しろ次に打てば間違いなく、皮膚が破れる。破れない程度の突きでは何の意味ももたない。趙雲にしてみればまさに手詰まり。
「何だ、、、じゃあ、、、僕の、、ば、、ん」
 切れ切れに宣言した劉は口を開き、思いっきり閉じた。
 顔は血を流しやすいせいで余り攻撃を受けていない。口などそのせいで無傷なのだ。その口が開かれ、ただ力いっぱい閉じられる。そして、それが何度も何度も繰り返される。
「やっと、、、だね」
 なんと愉悦に飛んだ声だろう。口の端から血を流し、指の一本すら動かせないと言う状態なのに、勝者のような声である。
 瞬間、趙雲が飛んだ。それとタイミングを同じくして、劉の体が爆ぜた。
 血を流すと言う行為が劉にとっては始まり。そのまま劉は脱皮する蛾のごとく皮膚を脱ぎ捨てて、血を迸らせる。
「これは決まったかな」
「せっかくおぬしが助けた者の系譜だと言うのに、余り意味はなかったかな」
 北斗の言葉に南斗がフンと鼻を鳴らす。
 赤い血が趙雲を求めて追う。趙雲はそれを難なくかわしている。今は。
 追いすがる血を背後に見ながらかわしていた趙雲が急に真横に飛ぶ。
「まったく、厄介だな」
 趙雲は気が付いていたのだ。その血は追うだけではなく、周りをゆっくりと囲んでいることを。ただ直線で逃げれば良いというものではなくなっているのだ。
「さてさて、試練じゃの」
 空の高いより見ている盤古も楽しそうである。彼の場所からなら血の動きも手に取るように分かる、最上級の席なのだ。
「やれやれ、ここらで終わりにしよう」
 巨大な岩の上に飛び乗った趙雲が、聞こえているのか劉に宣言する。すでに岩の周囲は血で真っ赤に染められている。いかな趙雲と言えど、その血の海を飛んで逃げることは不可能だろう。そして、血はゆっくりとだが、岩をも登ってくる。
 そんな状況でも趙雲は緊張すら感じさせずにたたずんでいる。天を仰ぎ見るとそこには真っ白に光を放つ満月があった。風が長くまとめられた髪を泳がせる。
「よい月だな」
 言葉からは何の苦もないように感じさせる。だが実際は岩に登ってきた血を避けるため、大岩の上を縦横無尽の疾風のごとくかけている。避けられるときは避け、四方から来る時は槍を回転させ大車輪の風で吹き飛ばす。そんなことでかわし続けていたのだが、ふと気が付くと血が岩の上に上り、周囲を壁の如くにそそり立っている。最早如何な趙雲と言えど、逃げ場なしである。
「やっとか。遅かったな」
 それは自分の命運に言ったのか、そのいまわの際にも焦りすら感じさせない物言いである。
 そしてゆっくりと、血の壁が内に崩れていく。
 そのとき趙雲は槍を突いた。その足元に。そして、疾風を纏い、槍を振り回して血の壁に向かっていく。しかし、血はその身を覆う風が引きちぎり、趙雲に届くことはなかった。
 血の壁がすべて倒れる寸前、岩に亀裂が入った。亀裂はまるで図ったかのように岩の周囲を駆け、轟音と共に岩が消え砂以下の粒子になる。
「あ奴め、岩の上で逃げただけかと思って追ったらこのような仕掛けをしておるとは」
 盤古も思わず舌を巻く。
「しかし、岩をくりぬいて血を貯めたまではいいが、いずれあの血はまたお前を・・・なんじゃと?!」
 盤古だからこそ見えた。趙雲の槍が穿ったのは岩だけではないことを。
 盤古だからこそ聞こえた。その穿った穴の最深部から轟く咆哮を。
「龍脈まで届いたというのか、こりゃ天晴れじゃ。ほおっほっほっほ」
 盤古は大地のそこより迸る間欠泉のような溶岩を見て笑っていた。如何な血といえど、これで残ろうはずもない。
 勝利が確定したとき、盤古がすぐに龍脈をとめた。天地開闢を司る神にしてみればそれは造作もないことだった。そして、まるで何事もなかったように、周囲を元に戻すと趙雲の前に降り立った。それにあわせて、あまたの神仙も近づき趙雲の周りを囲んでいる。
「新たな武王よ。これより天に昇り、われらと共に地上を見守るとしよう」
 盤古が手を差し出し、その中に持つ48の石を見せる。
 それは天に武王を形作る星。それを取れば趙雲は武王となり、神仙の仲間となる。その石に向かって趙雲が手を伸ばし、盤古の手を閉じる。
「ぬ、いらぬと申すか?」
「ああ、武王を名乗るにはまだ越えねばならぬものが多い」
「何を言うか、この場に集まったものの頂点に立つというのに」
 伏羲がさも驚いたように言う。
「だが、ここに至るまでに呂布はいなかった。関羽も張飛も孫策もだ。奴らを倒してもいないのに武王など、恥ずかしくて名乗れるものか」
 その言葉に神仙たちが一斉に笑う。なんと言う傲岸かと、だがそれでこそ武王の器と。
「ならばその者たちを越えてくるがいい。おぬしの命脈尽きるまでに、その者たちと手を合わせ勝利して戻ってくるがいい。そのときこそ天に武王の星も戻ると言うものであろう」
「人の寿命など短いもの。われらにとって見れば瞬きほどであろう」
「そうですね。戻ってこなければまたこの戦いが見られるならば、それも一興でしょう」
 神仙たちは口々言うと霞の如く消えた。
 後に残った趙雲は踵を返す。
「ここからなら河北が近いか。噂に高い二枚看板の実力を試させてもらうとしよう」
 そう呟いて趙雲は河北へと向かう。
 時に197年。いまだ各地に覇を競う群雄多かりし日であった。
 この後、3年かけて河北にたどり着いた趙雲が劉備と出会うことになるがそれはまた別のお話として、このお話はここで幕と相成る所存。

  1. 2007年12月16日 23:56 |
  2. 三国志大戦二次創作同盟
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

コメント

参加有り難う御座います。

おお、こちらでも神仙界ネタですか。
趙雲カッコイイですね、特殊能力持ちもものともしませんかww
是非ウチの曹魏~のエースも参加させてみたいところ
  1. 2007/12/18(火) 23:46:21 |
  2. URL |
  3. 神行百変 #s48xcqFo
  4. [ 編集 ]

>神行百変殿
彼自身が特殊能力者ですからw
彼はまだこの時代は修行しているかどうかの頃でしょう
今なら勝てる・・・かもw
  1. 2007/12/19(水) 00:56:10 |
  2. URL |
  3. TOM9 #-
  4. [ 編集 ]

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